君がボクにくれたもの30

しょおくん!

俺しょおくんに見せたい景色があるんだ。

今から行ってみない?

え?

あうん。いいけど

今言った言葉は華麗にスルーかよ。

俺の涙は一瞬のうちにすっかり乾いてしまった。

カフェを出てしばらくは何も言葉を交わさずに歩いた。

ねぇ、しょおくん。

ん?

しょおくん本当にありがとね。

俺ね、しょおくんに出会えていろんなことに気付けた。

あの頃迷惑ばかりかけてたあの頃から俺は変われたんじゃないかなと思うんだ。

うん。潤は変わったと思うよ。

潤の仕事振り見てても笑顔で楽しそうでイキイキしてて美味しい料理に潤の笑顔は華を添えてると思うよ。

そうかな

うん。みんな笑顔になってたから。

しょおくんにたくさん教えてもらったからね。

あの時さ、辛くてもしょおくんはいつも笑顔で、弱音を吐かないしょおくんが心配だった。

無理をしてるのは分かってた。すごく無理をしてたけど、頑張ってるしょおくんに頑張れなんて言えないし、無理するなとも言えなかった。

俺は何も力になれなくて、こんな時に何も出来なくて、なんの頼りにもならない俺は本当に今までの人生何してたんだろって。

いっぱい悩んでいっぱい考えた。

そんな時ね、しょおくんはいつも美味しそうに俺のお弁当を食べてくれてたから俺はそれをもっともっと頑張ろうって思ったんだ。

うん。潤のお弁当はすごく美味しかった。

でもね、毎日朝からお弁当を作ってくるなんてきっと学校にも行かずにサボってるんだろうなって俺は少しずつ潤に嫌悪感を抱いていた。

そうだよね見ててそんな感じがしたから。

でも、何も聞けなくて

なのにそんな素振りは見せずにいつも完食してくれて嬉しかったよ。

しょおくん、着いたよ。

だいぶ坂道を登ってきてたどり着いたのは小高い丘の小さな公園。

もうすぐ夕陽が沈むのが見られるよ。

前に江ノ島で夕陽が沈むの見れなかったでしょ。

ほら、俺がグチグチ文句ばっか言っててしょおくんを怒らせちゃったから。

ふふふそんなこともあったね。

うん

あの頃の俺は本当に恥ずかしいよね。

ほんとバカ俺はしょおくんを困らせてばっかりだったよね。

だから、そんな俺がしょおくんに気持ち伝えなくてよかったって思った。

そんな俺に好かれてるなんてしょおくんだって嫌だよね。

そんなこと

ううん。そんな俺にしょおくんを好きだなんて言う資格はないから

しょおくんほら見て。

夕焼けが富士山を赤く染めた

綺麗だね。

でしょ

水平線に沈む夕陽とは違うけど

またいつかしょおくんと見られる日が来るといいなと思ってた。

こんな風に叶えることが出来てお母さんに感謝しなきゃ。

潤は母と連絡取り合ってたの?

うん。お母さんは俺の先生だよ。

え?もしかして短大の?

そう。いろいろ学んだよ。

ふふふお母さんは先生なのにしょおくんはあんなに料理が出来ないなんてね

勉強以外でも料理上手のお母さんにいろんなこと学んだし、いろんな話もしたよ。

今はメル友で時会って話ししてる。

ふふふ小さい頃のしょおくんの話しいっぱい聞いたから。

え?そうなの?俺の話し?恥ずかし

てか、母さん潤と会ってることなんて何も言わなかったよ。

うん。だって俺がしょおくんのお母さんに会ってるなんて嫌でしょ。

だから内緒にしててねってお願いしたんだ。

こっそり密会してたから。

え?密会?

何それ俺の母親と密会だなんてやめてくれよ。

ふふふでね、樹里ちゃんとも友達になったからね。

しょおくんみたいにニコニコ笑ってくれて俺は嬉しい。

そう樹里とも仲良くしてくれてたんだね。

潤いろいろありがとう。

ううん。

富士山の影に沈む夕陽を見つめた

しょおくん

ん?

あの頃言えなかった言葉

今なら胸を張って言える。

潤は大きな瞳を俺に真っ直ぐに向けた

しょおくんが好きです。

真っ直ぐに俺を見て潤は言った。

俺は潤をぎゅっと抱きしめた。

素直な気持ちを伝えることが出来ずに誤魔化してばかりだった潤が、素直で逞しく立派な大人になって俺のところに戻ってきた。

潤を抱きしめながら涙が溢れた。